大きな地震が起きたとき・大雨で大規模な停電があったとき、あなたは「電気」について考えたことがありますか?
スマホの充電が切れて家族と連絡が取れなくなったら…真っ暗な中で夜を過ごすことになったら…冷蔵庫の中の食材が全部ダメになったら…。
災害時、「電気」は命を守る大切な備えになります!
でも、「ポータブル電源を買ったのに、いざという時に使えなかった!」なんて失敗談はよく聞きます。
高いお金を出して買ったのに、電子レンジが動かなかったり、スマホが数回しか充電できなかったりするのは避けたいですよね。
この記事では、ポータブル電源の「容量」と「出力」という2つの大切なポイントを中学生でもわかるように解説します。
さらに、実際におすすめのポータブル電源も紹介するので、あなたの災害への備えがもっと確かなものになるはずです。
大切な家族を守るための電気の備え、一緒に考えていきましょう!
Contents
ポータブル電源とは

日下・・・ところでポータブル電源ってそもそも何だろう?
昼食をつつきながら、新入社員の日下くんに問いかけました。
え、あの、ポータブル電源は、え、えっと、持ち運べる電気の、お、お、おうちみたいなものですか・・・・・?( ;∀;)
と日下くんは少し緊張しながら答えます。
おうちじゃねえよ!でもまあ持ち運べる電気・・・いゃ!電池の倉庫みてえなもんだな。
ポータブル電源とは、簡単に言うと「持ち運べる電気の備蓄庫」です。
中には大きな電池(バッテリー)が入っていて、事前に充電しておくことで、外出先や災害時など電源のない場所でも電気を使うことができます。
最近は「電力を家庭で備える」という考え方が少しずつ広まってきており、いろんな種類のポータブル電源が売られるようになりました。
災害に備えてポータブル電源を持っておくことで、停電していても
- スマホやライトの充電
- 電子レンジやケトルでの調理
- テレビでの情報収集
- 扇風機や電気毛布での暑さ・寒さ対策
など、電気を使う製品を動かすことができます。
でもよ、日下・・・・見た目は似たようなもんでも、中身が全然ちげえんだ。
大事なのは『容量』と『出力』をちゃんと理解することだぜ
はっ!
畏まりました。
と日下くんは頷きました。
よしっ!日下、次からが大事なことだ!
ここを押さえておかないと、
失敗した・・・
買って損したっ・・・・
てことになる。
よ~く次の章を読んでくれ!
ポータブル電源の容量について
ポータブル電源を選ぶときに最も大切なポイントの一つが「容量」です。
容量はどれだけの電力を蓄えられるかを示す指標で、多くの場合「Wh(ワットアワー)」という単位で表示されています。
おいっ日下っ!ワットアワーって何だよ?
わかるか?
ワットアワー・・・・( ;∀;)
あ、あの、ワットアワーは、え、えっと...電気の量ですか?
なんだよ~自信もって答えろ。(^^;
そうだ!ざっくり言うとな (^_-)
例えば1000Whなら、1000Wの消費電力のものを1時間使えるってことだ。
または250Wのものなら4時間使える計算になる
甲斐田社長はコーヒーカップを掲げながら続けます。
でも、ここで要注意だ!
ポータブル電源の説明書きに書いてある容量は全部使えるわけじゃねえんだよ
え!?詐、詐欺じゃないですか!?
違えよ!これは『変換ロス』ってもんだ。
けっこう大事とこだから、丁寧に説明する!
ポータブル電源から電力を家電やスマホに送る際には「変換ロス」が生じます。
大体ですが、容量の10%から30%程度のロスがあるのが普通です。
これは、ポータブル電源から家電に電力を供給する際に
- 直流電流を交流電流に変換するインバーター
- 内部のバッテリー抵抗
- ケーブルの抵抗
などによって、電気が一定量失われることによって生じる現象です。
わかりにくいなら、スープを例にとって考えてみろ
たとえば・・・・
スープを作るために500mlの水を用意したとする。
スープを作るために水を鍋に移したり、煮込んだり、器に注いだりする過程で、500mlの水は少しずつ減っていくだろ?
最終的に鍋からお皿に注がれるスープは500mlより少なくなる
な、なるほど!
ポータブル電源も同じで、バ、バッテリーから電気を取り出して、変換して、送っている間に、電気の量が減っていくんですね!(^^♪
ザックリしたいいかたですが、1000Whの容量のポータブル電源の場合、2割のロスを考えると、1000Wの家電は50分弱しか使えないと考えておくといいでしょう。
じゃあ、スマホはどれくらい充電できるんですか?
これはスマホの容量や充電する際の条件などによっても大きく変動するからな、正確にはお伝えできないが...
あくまでもイメージだが、ポータブル電源の容量1000Whあたり、スマホなら30回~40回、タブレットなら16回~20回程度の充電ができる。
充電にはいろんな要因が絡むし機種にもよるから、あくまでもイメージだがな
容量の選び方としては、災害時の使い方によって異なります。
- スマホやライトの充電のみ:500Wh~700Whクラス
- 冷暖房器具や電子レンジを時々使用:1000Whクラス
- 調理家電や冷暖房器具を頻繁に使用:2000Wh以上
なんでも大きいのがいいってもんじゃねえぞ!
ようは・・・・自分の使い方に合わせて選ぶのが大事なんだ
ポータブル電源の出力について
これはどれくらいの消費電力の家電を使えるかという指標です。
この電力に耐えるための数値です。
瞬間最大出力に合わせて家電を選ぶのは危険です。
常に定格出力を基準に家電を選びましょう。
容量の次に大事なのが『出力』だ。
これがわからないと、高いポータブル電源買ったのに電子レンジが使えねえなんて悲劇が起きる
ポータブル電源の出力は「W(ワット)」の単位で表されます。
これはどれくらいの消費電力の家電を使えるかという指標です。
ポータブル電源には「定格出力」と「瞬間最大出力」の2種類の出力が記載されています
- 定格出力:ポータブル電源が安定して出力し続けられる電力の量
- 例:出力が2000Wなら、消費電力が2000Wまでの家電なら使える
- 瞬間最大出力:ポータブル電源が瞬間的に出せる最大の出力
- 電気製品の中には起動する際に定格消費電力よりも消費電力が高くなるものもある
- この電力に耐えるための数値
- 数秒しか出せない出力のため、瞬間最大出力に合わせて家電を選ぶのは危険
つまり・・・・
定格出力がどれくらいなのかをチェックすれば、どんな家電が使えるかがわかるってわけですね!
そうだっ!お前、なんだか成長したみてえだな!
このように、ポータブル電源について
- どれくらいの電力が蓄えられるかを示す「容量」
- どの家電なら動かせるのかを示す「定格出力」
を理解しておくと、自分が本当に必要としているポータブル電源を選ぶことができるようになります。
わ、わかりました!
容量と定格出力を確認すれば、高いお金を出して買ったのに全然家電が動かなかった...
なんて失敗はしないんですね!
そうだ!
オイラも昔、電子レンジを使いたいからって定格出力の低いポータブル電源買って、何も動かせなかったって痛い目に遭ったことがあるからな・・・
家電別の消費電力と使用可能時間
ポ、ポータブル電源の容量と出力がわかったとして、実際にうちの家電はどれくらい使えるんでしょうか?」
いい質問だ!実際に使いたい家電の消費電力と、使用時間、ポータブル電源の定格出力を確認すると選びやすくなるっ!
以下は、一般的な家庭にある家電の消費電力と、1000Whのポータブル電源(変換ロス20%を考慮して実質800Wh)で使える時間の目安です:
情報・通信機器
この資料では800Whのポータブル電源を例に、さまざまな電子機器の使用可能時間を紹介します。
お、おー!スマホやライトなら結構長く使えるんですね!」
ああ、でも間違えるなよ。
スマホの場合は『40-160時間使える』んじゃなくて『40-160時間充電できる』ってことだからな。
調理家電
使用時間(h) = バッテリー容量(Wh) ÷ 消費電力(W) で計算できます。
一般的な家電の消費電力と使用可能時間を見てみましょう。
うわっ!調理家電は消費電力が大きいんですね...
そうだな。熱を使う家電は消費電力が大きくなる。
ほら、うちもマキタのケトルやコーヒーメーカーを使うとバッテリがあっという間になくなるだろう?
でも電子レンジやケトルは1時間ぶっ通しで使うわけじゃなくて、2-3分程度だから、ちょいちょい使う分にはアリかもな
冷蔵庫は意外と電力食うから長期停電中に稼働させ続けるのはオススメできねえ。
停電したら冷凍のものはさっさと電子レンジでチンして食べちまい、冷蔵のものはクーラーボックスに移して早めに消費した方がいいぜ
あと、加熱系の調理は電気じゃなくてカセットコンロとボンベ使ってガスにお任せする方がコスパ良いからな。ガスの備蓄も大事だ・・・
冷暖房器具
使用時間(h) = バッテリー容量(Wh) ÷ 消費電力(W) で計算できます。
一般的な家電の消費電力と使用可能時間を見てみましょう。
寒さ・暑さ対策系も大事だよな
小型の扇風機や電気毛布は比較的省エネだから、これらは災害時の暑さ・寒さ対策の切り札になるぜ
でもエアコンやヒーターは消費電力が大きいから、1時間も使っているうちに1000Whくらいのポータブル電源の残量が0になっちまう。
災害時はほとんどの場合で使わない方がいいと思っておけ
は、はい!わ、わかりました!
ポータブル電源の電池の種類と安全性
ポータブル電源を選ぶ際、もう一つ重要なポイントがあります。
それは「電池の種類」です。
この選択を間違えると、火災のリスクが高まったり、予想より早く寿命が尽きたりするため、安全性と経済面の両方に悪影響を及ぼします。
現在、ポータブル電源に使われている電池は主に次の2種類です。
- 三元系リチウムイオン電池
- リン酸鉄リチウム電池
結論としては、リン酸鉄リチウム電池を選ぶのがおすすめです。
その理由について詳しく説明します。
リン酸鉄リチウム電池が優れている理由
- 安全性が高い
- 熱安定性に優れ、高温環境下でも加熱や発火のリスクが低い
- 衝撃による発熱温度:三元系は200度、リン酸鉄は80度程度
- 圧倒的に発火リスクが低い
やっぱり防災用の電源なら、安全性が一番大事ですよね!
そうだ!でもな、絶対に発火しないわけじゃないから、信頼できるメーカーから購入することと、地震が来たときに落ちてこないよう床に置いておくなどの対策も必要だぜ
- コスパが良い
- 初期費用は若干高いが寿命が三元系の3倍以上
- 充電・放電サイクル:三元系は500-1000回、リン酸鉄は3000-4000回
- 自然放電も少ない
なるほど!最初は高くても長く使えるから、結局はお得になるんですね!
そういうこった!
これを知らずに値段だけで三元系を選ぶと、長持ちせずに買い替えサイクルが早くなるから注意しろよ・・・
安全性とコスパの両方でリン酸鉄リチウム電池が勝っているから、買う際はリン酸鉄リチウム電池のものを選ぶといいぜ

DJI POWER 1000の特徴と性能
今日は実際の例として、DJIのPOWER 1000というポータブル電源を見ていこう
DJIって、ドローンの会社ですよね?防災用品メーカーじゃないけど大丈夫なんですか?Σ(・ω・ノ)ノ!
DJIはドローンのトップメーカーで世界シェア70%以上を誇る企業だ。ドローンやカメラ機器を作っているから、バッテリー技術には長けているんだぜ!
安全で高性能なバッテリーを研究してきた会社だから、ポータブル電源としても信頼できるわけだ。
実際、機能は高い!
DJI POWER 1000の基本スペック

デザインと使いやすさ
- 洗練されたブラックの横長デザイン
- 地震で転倒しにくい低重心設計
- すべてのポートが前面にあり、収納スペースを取らない
- 専用ケース(別売り)は防水生地・防水ファスナー採用
社長!低重心設計ってありますけど・・・・なにか意味ありますか?
たしかに、社長が持ってるエコフローに比べると平べったい形をしてますが?
縦長のデザインだと地震で転倒しやすくなるけど、POWER 1000は重心の低い横長設計だから、大きな揺れが来ても倒れにくいんだ
形って、いがいと大事なんですね!
容量と出力
- 容量:1024Wh(1000Whクラス)
- 定格出力:2000W
- 瞬間最大出力:4400W
容量は1000Whクラスだから、スマホやライトの充電はもちろん、電子レンジなんかもスポットで使えます。
出力は2000Wと高いから、ほぼすべての家電が使える計算になります。
す、すごいですね!実際に電子レンジは動くんですか?
動くよ!
電子レンジって、せいぜい使っても5分程度だよな?
最大消費電力は高いけど、意外と短い時間しか使わないから最大瞬間出力内であればいけちゃんだよ。
ちゃんと動くな!合格だな!
ソーラーパネルと充電手段
「ポータブル電源を備えると同時に、もう一つ大事なことがあるぜ」と甲斐田社長。
「な、なんですか?」
「災害が起きて停電している時も充電するための設備を整えておくことだ。停電中に充電する手段がなくて、ただ徐々に減っていく残量を見るのは精神衛生上よくない」
甲斐田社長は新しい箱を開けます。「停電中でも電力を生み出すためにおすすめなのがソーラーパネルだ。DJIも200Wのソーラーパネルを出しているんだよ」
DJIソーラーパネルの特徴
- 出力:200W(最大発電量は140-160W程度)
- 折りたたみ式で持ち運びが可能
- POWER 1000用のアダプターが必要(別売り)
- 1台のPOWER 1000に最大3枚のパネルを接続可能
「ソーラーパネルは他にも50W、100W、400Wなどもあるが、防災用として多くの人におすすめできるのは200Wだな。50W-100Wはコンパクトだが発電量が頼りなく、400Wは発電量が多いが大きくて重たい」
「でもソーラーパネルって、曇りの日や雨の日は使えませんよね?」と日下くん。
「その通り!全ての人におすすめできるわけじゃないんだ。日当たりのいい家に住んでいる人や晴れの日が多い地域ならソーラーパネルでOKだが、なかなか太陽が出にくい場所や地域に住んでいる場合は、カセットボンベを使う発電機なんかも考えるといいかもしれないな」
「なるほど〜!いろんな選択肢があるんですね」
「そうさ。電気、ガス、その他どのエネルギーが最も優れているかではなく、それぞれの良さを生かして組み合わせるのが防災の鉄則だぜ」と甲斐田社長は親指を立てました。
おわりに
いかがでしたか?ポータブル電源の選び方について理解が深まったでしょうか。
災害時、私たちの生活に欠かせない「電気」は、ほぼ確実に一時的に使えなくなります。そんな時、適切に選んだポータブル電源があれば、大切な情報収集のためのスマホやラジオの充電、夜間の照明、さらには簡単な調理まで可能になります。
この記事でお伝えした「容量(どれだけの電力を蓄えられるか)」と「出力(どの家電が使えるか)」の2つのポイントをしっかり理解すれば、自分のニーズに合ったポータブル電源を選ぶことができるはずです。さらに、リン酸鉄リチウム電池を採用した安全性の高い製品を選ぶことで、災害時だけでなく、長期的に見ても安心して使えるでしょう。
また、ソーラーパネルなどの充電手段も併せて考えることで、災害時の電力確保はさらに確実なものになります。
「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、電力の備えも同じです。あなたとあなたの大切な人のために、今日からでも電力の備えについて考えてみませんか?防災は頭の柔らかさが大切です。柔軟に考え、賢く備えていきましょう。
よくある質問
Q1: 小さいポータブル電源でも電子レンジは使えますか?
A1: 残念ながら、小さいポータブル電源では電子レンジを動かすことは難しいです。電子レンジの消費電力は約1500Wと大きいため、少なくとも定格出力が1500W以上、容量も1000Wh以上のポータブル電源が必要です。小型の500Wh以下のものでは、スマホの充電やLEDライトなど、消費電力の小さな機器の利用に限定されます。
Q2: ポータブル電源の寿命はどれくらいですか?
A2: 電池の種類によって大きく異なります。三元系リチウムイオン電池の場合は500〜1000回の充放電で容量が80%程度まで低下しますが、リン酸鉄リチウム電池は3000〜4000回持ちます。一般的な使用で、三元系なら2〜3年、リン酸鉄なら5〜10年程度使えることが多いです。ただし、使用頻度や保管状態によって変わります。
Q3: ソーラーパネルでポータブル電源をフル充電するにはどれくらいかかりますか?
A3: 200Wのソーラーパネルで1000Whのポータブル電源をフル充電する場合、晴れた日で約7〜8時間かかります。これは、ソーラーパネルの実際の発電量が表示値の70〜80%程度になることと、天候や日照条件によって変化することを考慮した目安です。曇りの日はさらに時間がかかります。
Q4: 冷蔵庫をポータブル電源で動かすことはできますか?
A4: 技術的には可能ですが、実用的ではありません。一般的な冷蔵庫の消費電力は150〜400W程度で、24時間稼働させると1日で3600〜9600Whもの電力を消費します。1000Whクラスのポータブル電源では、5〜6時間程度しか動かせないため、災害時は冷蔵庫の使用を諦めてクーラーボックスなどの代替手段を考えた方がよいでしょう。
Q5: ポータブル電源は普段から使っていても大丈夫ですか?
A5: はい、普段から使うことをむしろおすすめします。定期的に使用して充放電サイクルを維持する方が、バッテリーの状態を良好に保てます。キャンプやアウトドア、ベランダでの作業など、日常的に活用することで、いざという時にも使い方に慣れています。ただし、長期保存する場合は50〜70%程度充電した状態で、涼しい場所に保管するのがベストです。